成人部門
診療科

心臓血管外科

心臓血管外科からのお知らせ

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はじめに

当科は2017年4月から全く新しい体制にて診療を開始し、5年目を迎えた2021年4月からは心臓血管外科専門医3名を含む5人の専属スタッフに後期外科研修医1名を加えた総勢6人での診療体制となりました。
新体制以降はチーム一丸となって診療にあたり、2019年(1月~12月)は当院開設以来(2006年)14年目にして最多の開心術症例数となり、以前にも増して満足のいく治療成績を残しております。2020年はコロナ禍の状況で症例数は減少しましたが、個々の診療の質を落とさず継続治療に努めてきました。
今後も手術をお受けになるすべての患者様に元気になって退院していただくことを目標とし、また不安を少しでも軽減し家族がより満足していただけるよう心の通った丁寧な治療を心がけてまいります。
地域の先生の方々、緊急症例であれば24時間365日、ホットライン(070-5814-9676)でいつでも対応しておりますし、診断・治療に難渋する症例でも全く構いませんので、どうぞお気軽に当科外来(宗像/火・金、阿部/水)までご相談ください。当方にて積極的に検査等行い期待に添えるよう尽力してまいります。

  • (2021年度の診療スタッフ一同: 左から山里、大山、宗像、西村、藤井、阿部)

 

心臓血管外科の紹介

A.当科の特徴

当科の対象症例は多岐にわたり、弁膜症や冠動脈疾患を含む心臓疾患はもちろんのこと、膝下の末梢血管病変から大動脈解離などの大血管疾患までほぼすべての成人心臓血管外科疾患の治療にあたっております。その中でも当院の特徴としては、患者様のQOLを重視した低侵襲心臓手術(MICS: minimally invasive cardiac surgery)を積極的に行っております。

僧帽弁や大動脈弁疾患に留まらず、全国的にも導入施設の少ない大動脈疾患においても積極的に適応拡大しております。また放射線科との連携体制強化のもと、末梢血管に対して外科治療と血管内治療を同時に行うことで患者様への負担を軽減出来るHybrid治療にも力を入れており、腹部大動脈瘤や胸部大動脈瘤のステントグラフト内挿術も施行しています。

低侵襲治療の一方で、致死率が高く難治性の高い大動脈食道瘻や透析・大動脈石灰化症例、高齢などに付随する高度僧帽弁輪石灰化症例、胸腹部大動脈瘤なども、諦めずに積極的に手術介入しています。さらには以前より行われていた大動脈弁閉鎖不全症に対する弁形成術や大動脈基部拡張症への自己弁温存基部置換術など、新たな治療方針や手術方法を導入して全国レベルの治療成績を治めています。

その他補助人工心臓や重症心不全などの特殊な疾患に対しては、以前は植込型補助人工心臓実施施設でありましたが、施設集約や人員配置の観点からも琉球大学を主としながら可能な限りで協力させていただく事が当院の役割と考えております。今後は植込型補助人工心臓管理施設として当院循環器内科及び琉球大学と密に連絡を取り合い、県全体の中での心不全治療の役割が果たせればと考えております。

最後に当院は沖縄県内数カ所に存在する心臓血管外科基幹施設の一つとして、臨床現場に力を入れるのは当然のこと、魅力ある心臓血管外科学を少しでも若手医師にふれてもらい、沖縄発世界レベルの心臓外科医の育成の一翼を担えればと思っています。それには学会活動、論文報告、臨床研究も必要不可欠で、実際急性大動脈解離の術前灌流障害合併症例に対する早期灌流による臓器救済システムの導入や、出血傾向を有する症例でのnafamostat mesilate併用による体外循環の適応症例の拡大など、新たに様々な臨床研究も着手しております。今後もチーム全体で積極的に行っていければと考えています。

B.外来診療体制

 
午前 開心術 宗像・阿部 阿部
血管内治療外来
開心術 宗像・山里・藤井
午後 Hybrid治療 開心術 Hybrid治療

C.施設認定関係

診療実績

A.新体制以降の開心術件数の推移及びその早期成績

B.2020年(1月~12月)の全開心術症例の報告

  • 2020年開心術症例
  • 2020年(1-12月)全開心術症例(n=160)の手術結果
 
  • 2020年 全開心術症例(n=160)の内訳
  • 2020年 全開心術症例(n=160)の術式内訳1
  • 2020年 全開心術症例(n=160)の術式内訳2

C.2017年4月以降の新たな取り組みとその結果

A.低侵襲心臓手術(MICS)の成績

大動脈弁置換術に関しては数年前より低侵襲心臓手術(MICS)を導入しており、多くの患者さまにその恩恵を受けていただいていると自負しておりますが、2018年からは僧帽弁に対する内視鏡補助下でのMICSも開始しております。今後も安定した成績が出せるよう更に努力いたします。
また弓部大動脈置換術などの大動脈疾患に対しても、2018年からは症例に応じてMICSを積極的に導入しております。以前であれば解剖学的理由などから、ステントグラフト内挿術が困難なHigh risk症例はその治療自体を断念せざるを得ない状況でしたが、このMICS-大動脈はかかる患者様において非常に有用な治療選択枝の一つとなっています。
実際に入院期間は平均2週間前後、無輸血の症例も半数近くいる事からも、是非今まではあきらめていた症例においても治療可能な場合がありますので、ご紹介頂ければ期待に添えるよう尽力してまいります。MICS手術を希望される患者様がいましたら、まずは当方外来を受診して頂ければ幸いです。

  • 僧帽弁(MR)に対するMICS
  • 大血管疾患に対する低侵襲心臓手術(MICS)1
  • 大血管疾患に対する低侵襲心臓手術(MICS)2
  • 2020年 MICS(低侵襲心臓手術)
  • 2017年4月以降連続するMICS-大動脈の成績

B.難治性の高い疾患/難易度の高い手術に対する積極的介入

いままでは外科治療適応外と考えていた症例、難治性の高い症例などに対しても、諦めずに治療介入しています。例えば全国的にも難治性の高い二次性大動脈食道瘻に対して、神戸大学での治療経験を基に当院にて手術加療するなどしています。
また新体制以降、大動脈基部拡張症や大動脈弁閉鎖不全症に対しては、弁置換に頼らずに自己弁温存型の基部置換術や単独大動脈弁形成術などを積極的の導入しております。加えて胸腹部大動脈人工血管置換術など難易度の高い手術においても、全国レベルでの良好な治療成績を得ています。
お困りの症例がいましたら、当方まで御紹介いただければ、患者様・家族に寄り添い最善の策を考えます。

  • 二次性大動脈食道瘻(S-AEF)に対する根治手術
  • 高度MACや弁輪補強が必要な症例に対する手術
  • 大動脈弁形成術(AVP:単独 n=6, 複合 n=9)の成績
  • 胸腹部大動脈人工血管置換術(TAAA)

C.急性A型大動脈解離の手術成績とその向上に向けて

急性大動脈解離に対する治療は当科の得意とする分野のひとつであります。実際に神戸大学グループは全国に先駆けて合併症を有する急性大動脈解離症例に対する新たな手術戦略を試みており、手術成績の向上を目指して日々精進しています。

我々も病状の安定した症例に対しては遠隔期を考慮した手術術式の採用(弓部大動脈置換術の割合が半分以上と高いことや可能な限り自己弁温存基部置換術による基部置換術を行っている)だけでなく、2017年に当院倫理委員会の承認を得て、術前状態の厳しい症例に対しても積極的手術加療を行っております。

24時間365日いつでも心臓外科医が直接対応いたしますので、ホットライン(070-5814-9676)にまずは御一報頂ければと思います。また2019年10月より決してあきらめない治療方針の下、心臓血管外科手術領域に特化した医師派遣型ドクターカー(Mobil CVS)の導入も開始しております。今後とも診療協力をよろしくお願い致します。

  • 急性A型大動脈解離の年次/体制別手術成績
  • 2019年10月1日よりMobil CVS指導開始
  • 急性A型解離の更なる手術成績向上にむけて
  • 臓器救済システム(BBSS)を導入して救命した症例

Mobil CVSの運用成績:「地域連携だより」より

 

D.出血傾向を有する症例における開心術適応の拡大

10年以上におよぶ臨床経験と実験データーに基づき、出血のリスクがある症例でも我々神戸大学部ループは体外循環方法を確立することで開心術術後の出血イベントを減らすことが出来ました。以前は感染性心内膜炎などの弁膜症に限定していた症例も、2018年度より人工血管置換術などの症例に適応拡大しており、さらに多くの症例で対応可能となっています。また脳神経外科との連携体制の強化により、心源性脳梗塞症例に対する血栓吸引療法後のMICS+フサン併用体外循環法による早期血栓摘除術も積極的に行っております。適応で迷われた症例が御座いましたらまずはホットラインに連絡ください。

  • Futhan症例の適応拡大
  • 出血riskのある開心術症例
  • Futhan使用症例の適応拡大
 

E.冠動脈バイパス手術やその他手術成績の年次推移

単独冠動脈バイパス術は2018年以降100%心拍動下で完遂(OPCAB)しており、早期離床を実現しております。また吻合されたバイパス血管の早期開存率も2019年は全体で95%と比較的満足いくものでありました。

今後も安定した成績を残せるようチーム一丸となって取り組んでいきます。またDPCII期間内での患者退院の割合の年次推移からも、新体制以降の手術成績の向上が示されています。この結果に満足する事なく日々精進していく所存ですので、何卒御指導お願いいたします。

  • 2020年 冠動脈バイパス術(n=48)の手術成績
  • 年度別DPC期間患者の割合の推移

医師紹介

神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学教室と連携し、人員の確保や交流を行っております。

宗像 宏 (むなかた ひろし)

宗像 宏
職位 心臓血管外科 部長 / 施設修練責任者
出身大学 順天堂大学(2001年卒)
職歴 2001年4月~ 順天堂大学病院にて外科研修
2003年6月~ 神戸大学大学院医学系研究科呼吸循環器外科医員
2004年2月~ 沖縄県立那覇病院心臓血管外科常勤医師
2005年6月~ 神戸大学大学院医学系研究科呼吸循環器外科医員
2008年4月~ 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学助教
2011年5月~ ドイツデュッセルドルフ大学心臓外科
リサーチ&クリニカルフェロー
2013年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター心臓血管外科
取得資格 医師免許(2001年)
医学博士(2011年、神戸大学:急性大動脈解離の脳合併症)
ドイツ医師免許(2012年、ノルトライン=ヴェストファーレン州)
日本外科学会専門医(2007年)、指導医(2016年)
日本心臓血管外科学会専門医(2009年)、国際会員(2013年)、修練指導医(2014年)、評議員(2020年)
専門分野 成人心臓血管外科全般
特に大動脈手術や弁形成術
コメント 私は神戸大学前大北教授の下で約8年間、その後ドイツで2年間心臓血管外科の専門領域を学び、2013年より当センターにて勤務しています。大好きな沖縄で一生懸命頑張っていきますので何卒よろしくお願いいたします。

阿部 陛之 (あべ のりゆき)

阿部 陛之
職位 心臓血管外科 医長
出身大学 杏林大学(2006年卒)
職歴 2006年4月~ 北海道大学病院にて外科初期研修
2007年4月~ 函館中央病院にて外科初期研修
2008年4月~ 静岡市立静岡病院にて外科後期研修(心臓血管外科専攻)
2011年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科
2015年4月~ 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学 大学院、特定助教
2017年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科
取得資格 医師免許(2006年)
医学博士(2021年、神戸大学:解離後のValve sparingの検討)
日本外科学会専門医(2013年)
日本心臓血管外科学会専門医(2016年)
腹部ステントグラフト実施医(2013年)、指導医(2019年)
胸部ステントグラフト実施医(2013年)、指導医(2020年)
専門分野 成人心臓血管外科全般
特に大動脈手術、末梢血管、血管内治療
コメント いつも元気で高いモチベーションを持って、沖縄での仕事を行っていきたいと思います。他科とのチームワークでこれまでに学んできた知識と経験をもとに沖縄県民のために安全な医療を提供できるように頑張っていきます。

山里 隆浩 (やまざと たかひろ)

山里 隆浩
職位 心臓血管外科 医長
出身大学 琉球大学(2005年卒)
職歴 2005年4月~ 福岡新水巻病院にて外科初期研修
2008年4月~ 東京医療センターにて外科後期研修
2010年4月~ 福岡新水巻病院にて一般外科 医師
2011年4月~ 新武雄病院にて一般外科 医長
2012年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科
2014年4月~ 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学 大学院
2016年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科
取得資格 医師免許(2005年)
医学博士(2018年、神戸大学:大動脈食道瘻の手術戦略)
日本外科学会専門医(2011年)
日本心臓血管外科学会専門医(2021年)
専門分野 成人心臓血管外科全般
コメント 私はもともと一般外科を専攻していましたが、生死に直結する心臓外科への憧憬を断ち切れず、一念発起し心臓外科へ進みました。新体制の心臓外科で心機一転頑張ります。

藤井 孝之 (ふじい たかゆき)

藤井 孝之
職位 心臓血管外科 医師
出身大学 琉球大学(2010年卒)
職歴 2010年4月~ 社会保険中京病院にて初期研修
2012年4月~ 社会保険中京病院にて外科後期研修
2015年4月~ 名古屋大学附属病院血管外科 医員
2016年4月~ 名古屋大学大学院医学系研究科血管外科学 大学院
2019年4月~ 名古屋第一赤十字病院 血管外科 医員
2021年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科
取得資格 医師免許(2005年)
医学博士(2020年、名古屋大学:EVAR後の瘤径拡大発生の検討)
日本外科学会専門医(2016年)
腹部ステントグラフト実施医(2015年)、指導医(2018年)
胸部ステントグラフト実施医(2018年)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼実施医(2014年)
専門分野 大血管、閉塞性動脈硬化症
コメント 名古屋で血管外科医として研鑽を積んできましたが、その知識と技術を活かして沖縄の医療に貢献したいと思っています。よろしくお願いいたします。

大山 詔子 (おおやま のりこ)

大山 詔子
職位 心臓血管外科 医師
出身大学 産業医科大学(2014年卒)
職歴 2014年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて初期研修
2016年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて外科後期研修
2017年4月~ 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学 医員国内留学
2018年4月~ 沖縄県立八重山病院 一般外科研修
2019年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科
取得資格 医師免許(2014年)
日本外科学会専門医(2021年)
専門分野 外科、成人心臓血管外科全般
コメント 患者様の笑顔を糧に日々研鑽して参ります。

西村 和佳乃 (にしむら わかの)

西村 和佳乃
職位 心臓血管外科 後期研修医
出身大学 岩手医科大学(2019年卒)
職歴 2019年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて初期研修
2021年4月~ 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて外科後期研修
取得資格 医師免許(2014年)
専門分野 成人心臓血管外科全般目標
コメント まだまだ勉強中ですが、何事に対しても全力で頑張って行きます。よろしくお願いします。

大北 裕 (おおきた ゆたか)

大北 裕
職位 テクニカルアドバイザー
出身大学 神戸大学(1978年卒)
職歴 1978年5月~ 天理よろづ相談所病院レジデント
1986年1月~ 英国国立心臓病院外科レジストラ
1989年1月~ 米国アラバマ大学心臓外科フェロー
1990年1月~ 天理よろづ相談所病院心臓血管外科
1993年9月~ 国立循環器病センター
1999年10月~ 神戸大学医学部外科学第二講座 教授
2018年4月~ 愛仁会高槻病院心臓・大血管センター長
2018年7月~ 沖縄県立南部医療センターこども医療センター 心臓血管外科
テクニカルアドバイザー 就任
取得資格 日本外科学会専門医・指導医
心臓血管外科専門医・修練指導医
循環器専門医

その他

A.心臓血管外科の日常

心臓血管外科のプライベートホームページも是非のぞいてみてください。

B.南部医療センター 心・血管グループ

こどもからおとなまで「大切な命を守り、県民に貢献する」病院の理念の下、2017年4月に南部医療センター・こども医療センター 心・血管グループを立ち上げています。当科もその一員としてその活動に幅広く関わっています。

  • 南部医療センター・こども医療センター 心・血管グループ
  • 南部医療センター・こども医療センター心・血管グループ地域連携公開講演会の目的

C.一緒に働く人募集中!

心臓血管外科を希望する外科後期研修医の先生には当科の心臓血管外科カリキュラム(仮:2019年初春をめどに開始予定)を確認の上、是非連絡をお待ちしています。
当科では専門医取得は必修で、神戸大学病院への研修や学位取得(社会人枠または大学院生)を目標とし、希望者には海外有名施設(ドイツ、アメリカ、オーストラリア、その他アジア各国など)への留学も紹介可能です。
楽しく時に厳しい環境ではあるものの、努力した分だけ得られるものを我々は提供できますので一緒に働きましょう。

専攻医の募集要項はこちら