心臓血管外科からのお知らせ
当科は県立那覇病院から続く、伝統のある診療科となりました。2024年7月から4人での体制となります。これまで通り以下の対応を継続いたします。
・緊急症例への迅速な対応:心臓血管外科の緊急症例に対しては、従来通り24時間体制で対応いたします。
引き続き、ホットライン(070-5814-9676)も対応しております。
・手術の必要な患者さんへの対応:計画的な手術および緊急手術ともに、これまで通り実施いたします。
・外来診療:通常の外来診療をこれまで通り継続して行います。
・大動脈専門外来:大動脈専門外来もこれまで通り運営いたします。
・心臓血管外科基幹施設の維持:当施設の心臓血管外科基幹施設としての役割をこれまで通り維持し、持続的に運営してまいります。
*TAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)に関して
2024年4月からハイブリッド手術室が稼働し、さまざまな外科的手術とカテーテル手術を融合したハイブリッド治療を行っております。さらに、今年度中のTAVI開始を予定しています。引き続き、循環器内科、心臓血管外科を中心に麻酔科、手術部、集中治療部、放射線技師、臨床工学技士などを含めたハートチームにて準備を行っていきます。
2024年内にTAVI実施の見込みとなっています。
各施設の皆様には、一時的にご不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。これまで以上に質の高い医療サービスの提供を目指してまいります。今後とも、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
当科の対象症例は多岐にわたり、弁膜症や冠動脈疾患を含む心臓疾患はもちろんのこと、膝下の末梢血管病変から大動脈解離などの大血管疾患までほぼすべての成人心臓血管外科疾患の治療にあたっております。その中でも当院の特徴としては、患者さんのQOLを重視した低侵襲心臓手術(MICS: minimally invasive cardiac surgery)を積極的に行っております。
僧帽弁や大動脈弁疾患に留まらず、全国的にも導入施設の少ない大動脈疾患においても積極的に適応拡大しております。また放射線科との連携体制強化のもと、末梢血管に対して外科治療と血管内治療を同時に行うことで患者さんへの負担を軽減出来るHybrid治療にも力を入れており、腹部大動脈瘤や胸部大動脈瘤のステントグラフト内挿術も施行しています。
2022年からは本格的に心原性脳梗塞患者さんに対する完全内視鏡下左心耳閉鎖術(ウルフオオツカ法/TT Maze法)を導入しています。心房細動に対する新たな外科治療として、全国的にも期待されている術式です。
低侵襲治療の一方で、致死率が高く難治性の高い大動脈食道瘻や透析・大動脈石灰化症例、高齢などに付随する高度僧帽弁輪石灰化症例、胸腹部大動脈瘤なども、諦めずに積極的に手術介入しています。また以前より行われていた大動脈弁閉鎖不全症に対する弁形成術や大動脈基部拡張症への自己弁温存基部置換術などは全国レベルの治療診療実績を残しておりますので、更に安定させていきます。
その他補助人工心臓や重症心不全などの特殊な疾患に対しては、以前は植込型補助人工心臓実施施設でありましたが、施設集約や人員配置の観点からも琉球大学を主としながら可能な限りで協力させていただく事が当院の役割と考えております。今後は植込型補助人工心臓管理施設として県全体の中での心不全治療の役割が果たせればと考えております。
最後に当院は沖縄県内数カ所に存在する心臓血管外科基幹施設の一つだけでなく、沖縄県立病院群心臓血管外科専門医養成プログラムの修練統括施設であります。臨床現場に力を入れるのは当然のこと、魅力ある心臓血管外科学を少しでも若手医師にふれてもらい、沖縄発世界レベルの心臓外科医の育成が責務かと考えます。それには学会活動、論文報告、臨床研究も必要不可欠で、急性大動脈解離の術前灌流障害合併症例に対する早期灌流による臓器救済システムの導入、出血傾向を有する症例でのnafamostat mesilate併用による体外循環の適応症例の拡大、開心術に対する左心耳閉鎖のマネジメントなど、新たに様々な臨床研究も着手しております。今後もチーム全体で積極的に行っていければと考えています。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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外来担当医 | 藤井(1,3週目) 阿部(2,4週目) |
藤井(1週目) 阿部(2-5週目) |
山里(全週) 藤井(1,3週目) 大山(2,4,5週目) |
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専門外来 | 心エコー専門外来 | 血管内治療外来 | 大動脈専門外来 |
大動脈弁置換術に関しては2015年より低侵襲心臓手術(MICS)を導入しておりましたが、更なる低侵襲治療を目指して2020年以降県内で初となる縫合手技の必要性が極力少ない新しい生体弁(Rapid deployment valve)や自動結紮器を採用ました。2022年度末までに30例以上の植え込み経験を有しており、多くの患者さまにその恩恵を受けていただいていると自負しております。また2018年からは僧帽弁に対する内視鏡補助下でのMICSも開始しております。今後も安定した成績が出せるよう更に努力いたします。
弓部大動脈置換術などの大動脈疾患に対しても、2018年からは症例に応じてMICSを積極的に導入しております。以前であれば解剖学的理由などから、ステントグラフト内挿術が困難なHigh risk症例はその治療自体を断念せざるを得ない状況でしたが、このMICS-大動脈はかかる患者さんにおいて非常に有用な治療選択枝の一つとなっています。
実際に入院期間は平均2週間前後、無輸血の症例も半数近くいる事からも、是非今まではあきらめていた症例においても治療可能な場合がありますので、ご紹介頂ければ期待に添えるよう尽力してまいります。MICS手術を希望される患者さんがいましたら、まずは当方外来を受診して頂ければ幸いです。
急性大動脈解離に対する治療は当科の得意とする分野のひとつであります。実際に神戸大学グループは全国に先駆けて合併症を有する急性大動脈解離症例に対する新たな手術戦略を試み、手術成績の向上を目指して日々精進しています。
当科の大動脈疾患に対する新たな取り組みとして2019年10月より決してあきらめない治療方針の下、心臓血管外科手術領域に特化した医師派遣型ドクターカー(Mobil CVS)の導入や、2023年4月より「ぱいかじ大動脈センター」を開設いたしました。
緊急疾患であれば24時間365日いつでも心臓外科医が直接対応いたしますし、毎週金曜日に大動脈専門外来を行っていますので、まずは御一報頂ければと思います。
Mobil CVSの運用成績:「地域連携だより」より 「ぱいかじ大動脈センター」解説のご報告
10年以上におよぶ臨床経験と実験データーに基づき、出血のリスクがある症例でも我々神戸大学グループは体外循環方法を確立することで開心術術後の出血イベントを減らすことが出来ました。以前は感染性心内膜炎などの弁膜症に限定していた症例も、2018年度より人工血管置換術などの症例に適応拡大しており、さらに多くの症例で対応可能となっています。そのデーターは2021年に論文発表されていただきガイドラインの先をいく治療方針として、多くの全国学会でも発表報告しています。
また脳神経外科との連携体制の強化により、心原性脳梗塞症例に対する血栓吸引療法後のMICS+フサン併用体外循環法による早期血栓摘除術も積極的に行っております。適応で迷われた症例が御座いましたらまずはホットラインに連絡ください。全国に先駆けて当院でしか行えない治療を、提供致します。
単独冠動脈バイパス術は2018年以降100%心拍動下で完遂しており、またMICS-CABGも導入していますので早期離床が可能です。吻合されたバイパス血管の早期開存率も2021年96%、2022年97%、2023年98%と満足いく結果でした。
神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学教室と連携し、人員の確保や交流を行っております。
職位 | 心臓血管外科 副部長 | |
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出身大学 | 杏林大学(2006年卒) | |
職歴 | 2006年4月~ | 北海道大学病院にて外科初期研修 |
2007年4月~ | 函館中央病院にて外科初期研修 | |
2008年4月~ | 静岡市立静岡病院にて外科後期研修(心臓血管外科専攻) | |
2011年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科 | |
2015年4月~ | 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学 大学院、特定助教 | |
2017年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科 | |
取得資格 | 医師免許(2006年) 医学博士(2021年、神戸大学:解離後のValve sparingの検討) 日本外科学会専門医(2013年) 日本心臓血管外科学会専門医(2016年)、修練指導医(2022年) 腹部ステントグラフト実施医(2013年)、指導医(2019年) 胸部ステントグラフト実施医(2013年)、指導医(2020年) |
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専門分野 | 成人心臓血管外科全般 特に大動脈手術、末梢血管、血管内治療 |
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コメント | いつも元気で高いモチベーションを持って、沖縄での仕事を行っていきたいと思います。他科とのチームワークでこれまでに学んできた知識と経験をもとに沖縄県民のために安全な医療を提供できるように頑張っていきます。 |
職位 | 心臓血管外科 医長 | |
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出身大学 | 琉球大学(2005年卒) | |
職歴 | 2005年4月~ | 福岡新水巻病院にて外科初期研修 |
2008年4月~ | 東京医療センターにて外科後期研修 | |
2010年4月~ | 福岡新水巻病院にて一般外科 医師 | |
2011年4月~ | 新武雄病院にて一般外科 医長 | |
2012年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科 | |
2014年4月~ | 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学 大学院 | |
2016年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科 | |
取得資格 | 医師免許(2005年) 医学博士(2018年、神戸大学:大動脈食道瘻の手術戦略) 日本外科学会専門医(2011年) 日本心臓血管外科学会専門医(2021年) |
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専門分野 | 成人心臓血管外科全般 | |
コメント | 私はもともと一般外科を専攻していましたが、生死に直結する心臓外科への憧憬を断ち切れず、一念発起し心臓外科へ進みました。新体制の心臓外科で心機一転頑張ります。 |
職位 | 心臓血管外科 医長 | |
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出身大学 | 琉球大学(2010年卒) | |
職歴 | 2010年4月~ | 社会保険中京病院にて初期研修 |
2012年4月~ | 社会保険中京病院にて外科後期研修 | |
2015年4月~ | 名古屋大学附属病院血管外科 医員 | |
2016年4月~ | 名古屋大学大学院医学系研究科血管外科学 大学院 | |
2019年4月~ | 名古屋第一赤十字病院 血管外科 医員 | |
2021年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科 | |
取得資格 | 医師免許(2005年) 医学博士(2020年、名古屋大学:EVAR後の瘤径拡大発生の検討) 日本外科学会専門医(2016年) 日本心臓血管外科学会専門医(2022年) 腹部ステントグラフト実施医(2015年)、指導医(2018年) 胸部ステントグラフト実施医(2018年) 下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼実施医(2014年) |
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専門分野 | 大血管、閉塞性動脈硬化症 | |
コメント | 名古屋で血管外科医として研鑽を積んできましたが、その知識と技術を活かして沖縄の医療に貢献したいと思っています。よろしくお願いいたします。 |
職位 | 心臓血管外科 医師 | |
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出身大学 | 産業医科大学(2014年卒) | |
職歴 | 2014年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて初期研修 |
2016年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて外科後期研修 | |
2017年4月~ | 神戸大学大学院医学研究科外科学講座心臓血管外科学 医員国内留学 | |
2018年4月~ | 沖縄県立八重山病院 一般外科研修 | |
2019年4月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 心臓血管外科 | |
取得資格 | 医師免許(2014年) 日本外科学会専門医(2021年) 日本心臓血管外科学会専門医(2023年) |
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専門分野 | 外科、成人心臓血管外科全般 | |
コメント | 患者さんの笑顔を糧に日々研鑽して参ります。 |
職位 | 生理検査室/循環器内科 医師 | |
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出身大学 | 金沢大学(2005年卒) | |
職歴 | 2005年4月~ | 六甲アイランド病院 臨床研修医 |
2007年4月~ | 六甲アイランド病院 麻酔科専攻医 | |
2009年4月~ | 大阪市立総合医療センター 循環器内科 | |
2013年4月~ | 城山病院 循環器科 | |
2019年7月~ | 米国コロンビア大学 循環器内科研究員 | |
2021年10月~ | 沖縄県立八重山病院 循環器内科 | |
2023年5月~ | 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 循環器内科 | |
取得資格 | 医師免許(2005年) 麻酔科標榜医(2010年) 日本循環器学会循環器専門医(2019年) 日本超音波医学会超音波専門医(2017年) 日本心エコー図学会心エコー図専門医(2023年) 日本心エコー図学会S H D心エコー図認証医(2015年) 日本心血管インターベンション治療学会認定医(2017年) 日本内科学会内科認定医(2012年) |
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専門分野 | 心エコー図検査 弁膜症 心筋症 心不全 | |
コメント | 臨床に直結する心エコー図検査を心がけています.心雑音の原因精査から弁膜症の手術適応評価及び治療法選択まで,何でもお気軽にご紹介ください.国内外で学んだ知識と技術をもとに,循環器内科・心臓血管外科と手を取り合って皆様のお役に立ちたいと考えております。 |
職位 | テクニカルアドバイザー | |
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出身大学 | 神戸大学(1978年卒) | |
職歴 | 1978年5月~ | 天理よろづ相談所病院レジデント |
1986年1月~ | 英国国立心臓病院外科レジストラ | |
1989年1月~ | 米国アラバマ大学心臓外科フェロー | |
1990年1月~ | 天理よろづ相談所病院心臓血管外科 | |
1993年9月~ | 国立循環器病センター | |
1999年10月~ | 神戸大学医学部外科学第二講座 教授 | |
2018年4月~ | 愛仁会高槻病院心臓・大血管センター長 | |
2018年7月~ | 沖縄県立南部医療センターこども医療センター 心臓血管外科 テクニカルアドバイザー 就任 |
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取得資格 | 日本外科学会専門医・指導医 心臓血管外科専門医・修練指導医 循環器専門医 |
心臓血管外科のSNSも是非のぞいてみてください。
当科では専門医取得は必修で、神戸大学病院その他関連病院への国内研修や学位取得(社会人枠または大学院生)を目標とし、さらには海外有名施設(ドイツ、アメリカ、オーストラリア、その他アジア各国など)への留学も紹介可能です。
また心臓血管外科を希望する専攻医の先生で沖縄での心臓血管外科研修に興味がある方は、沖縄県立病院群心臓血管外科専門医養成プログラムを確認の上、是非下記メールまで連絡下さい!
楽しく時に厳しい環境ではあるものの、努力した分だけ得られるものを我々は提供できますので一緒に働きましょう。
http://cvs.umin.jp/new_spcl_doc/new_spcl_shisetsu2022.pdf
当院は2023年度末のハイブリット手術室開設に伴い、TAVI/Mitraclipなど随時始動予定です。それに伴いハートチームの充実を目指して、急性期治療に興味のある循環器内科専門医(特にTAVR実施医資格保持者)を急募しています。首里城の麓で太陽に負けない情熱で熱くなりましょう。まずはご連絡をお待ちしてます。