脳卒中センターからのお知らせ
当院は日本脳卒中学会(脳卒中の予防、治療、研究に寄与するためにつくられた専門家の集まりです)から一次脳卒中センター(Primary Stroke Center: 略称PSC)として認定されていますが、さらに2021年4月1日から、PSCコア施設として活動するよう委嘱されました。PSCは県内でもいくつか認定施設がございますが、その中でも核(コア)となる施設を特にPSCコア施設と称し、他施設で対応できない患者さんの受け入れを引き受ける意味合いがございます。
近年の脳卒中治療の進歩は著しく発症からの時間が早ければ早いほど、選択できる治療の幅が広がった一方でそれらを適切に判断、施行できる専門性が患者さんの受け入れ病院に求められるようになりました。
これらの治療が24時間365日可能な施設がどこであるかを一般市民や医療従事者にもわかるように、日本脳卒中学会が、対応可能な施設を治療患者数や治療成績を吟味したうえで「一次脳卒中センター」として認定・発表することになりました。
具体的な認定基準は以下の通りです。
t-PA静注療法とは脳血栓を溶かす強力なお薬による治療のことです。
機械的血栓回収療法とは脳血栓を取り除くカテーテル治療のことです。
【日本脳卒中学会が定める認定基準】
一次脳卒中センター(PSC)は下記の8項目をみたすことが求められる
当院はSCU(Stroke Care Unit: 脳卒中用集中治療室)6床を保有し、24時間体制で緊急性の高いt-PA静注療法(脳血栓を溶かす強力なお薬による治療)やより高い専門性を要する機械的血栓回収療法(脳血栓を取り除くカテーテル治療)に対応可能なチームを編成して対応にあたっています。
PSCの中から、その活動に応じて、機械的血栓回収療法を実施できない施設から機械的血栓回収療法を必要とする患者さんを常時受け入れる「地域において核(コア)となるPSC施設」としてのPSCコア施設が選定されますが、2021年4月より当院が沖縄地域におけるPSCコア施設としての活動委嘱を受けました。
常時機械的血栓回収できない施設からの搬送依頼も含め、地域の核となる脳卒中センターとして活動してまいります。
超高齢化社会を迎える日本において脳卒中患者は今後増加の一途を辿ると考えられています。年間約30万人が新規脳卒中を発症するといわれ、我が国の死亡原因の第4位、寝たきりの原因の第1位となっています。
近年、脳卒中を取り巻く環境は治療技術の進歩、新規薬剤や治療機器の開発・導入により大きく変化しています。特に急性期脳梗塞の領域ではt-PA静注療法や脳血栓回収療法により、これまで治療困難であった脳主幹動脈閉塞症に対して再開通治療を行うことで症状改善が得られることが多くなりました。
そのような中、「健康寿命の延伸などを図る為の脳卒中、心臓病その他循環器病に係る対策に関する基本法」が2018年12月に成立し、高度な外科手術や脳血管内治療、t-PA静注療法をはじめとした薬物治療が24時間可能な脳卒中救急医療体制の整備が脳卒中学会を中心として進められています。
当院ではこのような社会のニーズに対応するとともに地域医療に貢献すべく、2018年度より準備を進め、2019年4月8日に脳卒中センターを開設しました。
当院は高度救命救急センターを併設するばかりではなく、脳卒中と関連が深い心臓血管疾患の治療にも実績があり、小児救命救急センターや周産期母子医療センターを有していることから、あらゆる合併疾患にも複数の診療科と連携し対応することが可能です。
24時間365日診療を行うとともに、脳卒中ユニット(stroke unit)を設置し、医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーなどの多職種からなる脳卒中チームが一丸となって急性期より治療、ケア、リハビリテーションを行っております。
また、脳卒中の啓蒙活動も重要と考えており、地域住民の方々への講演会や脳卒中診療に関する地域連携情報交換会を関係医療機関と定期的に行っており、脳卒中診療の向上に努めております。今後も各医療機関と協力しながら、沖縄県における脳卒中診療体制が充実したものとなるよう取り組んでまいりたいと思います。