当院は、精神身体合併症専門病棟を有しています。精神身体合併症専門病棟とは、精神疾患を有する患者さんの身体疾患を治療するための病棟です。2013年4月からは県下唯一の精神科救急合併症対応施設にも指定されています。
また、総合病院における精神科として、院内各科入院中の患者さんに精神科的な問題が現れたときや、緩和ケアが必要な時にも対応しています。病棟では、身体疾患の症状に応じて各科が主治医となって検査や治療を行い、精神科医は担当医として関わり精神症状の治療を並行して行います。

院内各科や地域の精神科病院からの紹介だけではなく、当院救命救急センターとの緊密な連携により、自殺未遂の患者さんなど、身体、精神疾患ともに重篤な救急患者さんの受け入れも積極的に行なっております。重症の精神疾患の併存があっても、それを理由に合併症治療をお断りすることはありません。

当院では、精神症状に関わらず最善の入院治療を受けていただけるよう、院内外の力を結集して治療やケアを行います。

精神科は2名の常勤医師で診療を行なっています。重症および急性の身体合併症入院診療に特化しており、少ない医療資源を最大限に活用するため、精神科外来治療および精神科治療のみの入院は行なっておりません。

当院での治療を必要とする多くの皆さまに利用していただけるよう、入院期間をなるべく短期間にとどめます。身体疾患の入院治療が終了した場合、精神科的な問題のために入院を延長することはありません。当院での身体疾患治療終了後は、かかりつけの精神科医療機関にて治療を継続していただくか、かかりつけをお持ちでない場合は近隣の精神科医療機関をご紹介しております。

県内の精神科医療は、精神科病院、診療所ともに充実しており、当院退院後も安心して治療を継続できるように緊密に連携していくことに努めておりますので、ご理解をお願い申し上げます。

精神病棟（5床）では、精神的にも身体的にも重症・急性である場合、優先して入院をお引き受けしています。

なお、精神科病院入院中であっても精神症状が安定している方（任意入院相当）は、精神科医が緊密に関わりながら一般病棟での入院加療を行うこともあります。

• 精神疾患と身体疾患が重なっている場合

  例）統合失調症で精神科病院入院中に悪性腫瘍（がん）がみつかった
  →精神保健指定医が常勤しており、どのような精神症状にも対応できるように努め、身体治療を円滑に行います。

• 身体疾患が精神症状の原因である場合

  例）脳炎や頭部外傷などの急性期で、興奮や異常行動がある
  →院内各科の専門家と協力して、原因疾患の診療にあたり、精神症状を改善します。

• 重症の自傷や自殺企図直後で、慎重な経過観察が必要な場合

  例）腹部を刃物で刺して自殺未遂をした後も「自殺したい考え」にとらわれている
  →救命救急センターや外科での外傷治療と並行して、精神科急性期治療を行います。

当院には、患者さんとそのご家族を支援する緩和ケアチームがあります。精神科もこのチームの一員として、精神医学的側面から支援を行なっています。主治医や病棟スタッフ、チームの他のメンバー（身体症状緩和医師、緩和ケア認定看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、ソーシャルワーカーなど）と協働し、より良い治療環境を提供いたします。

また、患者さんを支えるご家族も、さまざまな不安や負担の中で、気がつかないうちに心身に大きなダメージを受けていることがあります。ご家族が1人で悩まずにご相談できるように支援しています。

薬物療法の効果がじゅうぶんに得られていない精神疾患や、早急に精神症状の改善が必要な精神疾患に対して、有効な治療です。

麻酔科の協力を得ながら、必要な患者さんに施行しています。

ご紹介は地域医療連携室を通してご予約ください。合併症診療の場合は、先に対象となる身体科をご予約ください。

精神科病床入院の可能性がある患者さんのご紹介の際には、精神科あての診療情報提供書もご用意いただければ、可能な限り同日に当科も診察して方針をお伝えいたします。

精神病棟へは、精神保健福祉法上の入院手続きが必要ですので、入院に際してご家族（配偶者、2親等以内の親族）の同伴をお願いいたします。