3年間の当院および関連病院での研修を通じて、多様な精神医療のニーズに応えられる確かな臨床技能を練磨し、柔軟な臨床姿勢を涵養することを目指す。研修終了時には精神保健指定医および日本精神神経学会精神科専門医の資格取得に必要な経験を積んで、身体・心理・社会のそれぞれの側面に十分に配慮した精神医療を独力で遂行できる実力を身につけることが目標である。
当院は、総合病院の中に身体合併症を中心とした治療を行う5床の精神科閉鎖病床を有し、県内唯一の精神科救急合併症対応施設に指定されている。このような環境にあって、当院の専門医研修は総合病院精神医学に立脚したコンサルテーションを基本としている。身体各科と連携してコンサルテーション・リエゾン精神医学の研修を行うほか、救命救急センターや緩和ケアチーム等院内での活動は幅広い。麻酔科との連携により修正型電気けいれん療法(mECT)も行っている。さらに当院は災害拠点病院であり、DPAT(災害派遣精神医療チーム)を組織しており、希望者は災害精神医療も経験できる。
また、当院こども医療センターにはこころの診療科(発達障害診療)がある。さらに、当院の付属診療所が担当する離島の地域精神医療支援も貴重な経験になる。慢性期治療、社会復帰、司法精神医学の分野は関連病院である沖縄県立精和病院、沖縄県立宮古病院でさらに研修を行う。
川田 聡 (かわだ さとし) |
精神科副部長 精神保健指定医 日本精神神経学会専門医・指導医 |
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3年間の研修期間のうち、最初の2年間は当院で研修する。うち3カ月間こころの診療科(発達障害診療)の研修を推奨する。また、救急科、内科、麻酔科等、院内各科へのローテーションも相談に応じる。最後の1年間は沖縄県立精和病院、あるいは沖縄県立宮古病院で研修する。
当科の診療体制はつねに科全体で患者を担当するグループ診療、屋根瓦方式で、先輩医師からに指導監督を受けつつ、同時に初期臨床研修医を指導する立場になる。標準的な面接技術、診断学、検査法、電気けいれん療法を含む治療学、精神科救急などを学び、精神保健福祉法の運用にも習熟する。また、精神療法のスーパービジョンも個別に行う。一方で医学全般のスキルアップも怠らず、院内外の研修会には積極的に参加する。
院内では各科と連携し、院外では当院から徒歩5分の立地にある沖縄県立精和病院をはじめ、各県立病院と連携、人事交流がある。県内総合病院精神科とは定期的に研究会を開催している。
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