内科
初期研修1年目
1.目標
- 国家試験合格後の1年目の研修医は全員総合内科をローテーションし、医療面接法や身体診察法のベッドサイドにおける直接的指導を受け、POS/POMRの診療録監査、Clinical EpidemiologyとClinical Reasoningを考慮した鑑別診断や検査・治療方針の組み立て、そして論理的なMedical Decision Makingなどの考え方を学ぶ
- 医療面接により患者からの正確な主訴を聞き出し、かつその他の身体的、心理・社会的問題の抽出に努める。良好な患者医師関係を構築する
- 患者に対し、安楽を含めたケアや家族への癒しを実践できる
- 患者優先主義、守秘義務の実践
- 看護師等の医療スタッフ、同僚医師や上級医と良好なコミュニケーションを取りチーム医療を実践できる
- バイタルサインの読み方だけでなく、全身の基本的身体所見の取り方とその有用性を学ぶ
- 主訴、病歴、ROS、身体所見、鑑別疾患、検査方針、治療方針の入院診療録の作成ができる
- 患者の全体としてのproblem listの作成と、POS/POMRを基本としたカルテ記載の継続ができる
- 病歴を要約し、解りやすくプレゼンテーションできる
2.経験すべき目標
- 外来や救急室初療で目立つ主訴(頭痛、めまい、咳、動悸、胸痛など)やcommon disease(市中肺炎、喘息、尿路感染症、蜂窩識炎、咽頭炎、感染性下痢、脳梗塞、TIAなど)の診断・評価し、治療を行い、必要時に適切にコンサルトできる
- 致死的緊急疾患を嗅ぎ分ける能力と緊急コンサルトができる
- 血算、一般生化学検査、血液ガス検査、一般尿検査の必
- 喀痰スメア、尿スメアの解釈、髄液・腹水や胸水のスメアの解釈ができる
- 単純レントゲン写真の読影と危険な心電図の評価ができる
- 指導医の元、エアウエイの確保、経鼻胃管の挿入、静脈採血、末梢静脈路の確保、動脈血液ガスの採取、Foleyカテーテルの留置、吸痰、気管カニューレの交換、腰椎穿刺、膝関節穿刺、大量胸水の穿刺、大量腹水の穿刺ができる
- インターネットでの文献検索や情報収集ができる
3.その他
- 1年目の研修医は内科各専科(呼吸器科、循環器科、消化器科、神経内科、腎リウマチ科、血液内科、総合内科)のうち、2年目研修医がローテートしている専科に配属され、1つの専科を1ヵ月、3ヵ月間で3つの専科をローテートする。ローテートする科の希望による選択権はないが、ローテートできなかった科は2年次で選択する
- 内科ローテート中は常に2年目の内科研修医から屋根瓦方式で病棟管理を学ぶ
初期研修2年目
1.目標
- 1年目研修医の一般目標は当然の事として、総合臨床能力のみならず各専科の重要な疾患の直接担当を行い、後輩医師や医学生の指導も行うことができる。
- ※1年目の行動目標に加え
- 末期患者に対し適切に対応でき、患者の死に際して安楽を含めたケアや家族への癒しを実践できる
- 医療を行うためのインフォームド・コンセントが実施できる
- 患者さんの社会的背景を理解共感し、良好な患者医師関係を構築でき、全人的医療ができる
- 医療事故防止および事故後の対処についてマニュアルに沿って行動できる。院内感染対策の理解と実践ができる
- 救急診察および入院患者の状況に応じた病歴聴取ができる。患者自身の病気に対する解釈モデルを理解できる
- 後輩医師や医学生へ指導ができる
- コメディカルとの適切なコミュニケーションができる。それを利用して、患者に有用な社会資源の有効利用を考慮できる
2.経験すべき目標
- ※1年目の行動目標に加え
- 複数の臓器が原因となりうる頻度の高い症状についての病態生理と鑑別診断ができる高齢者や複数臓器合併症の患者のケアができる
- 認知症を含めた精神疾患を合併した患者の身体合併症のケアができる
- 各種ショックの鑑別と初期治ができる
- 人工呼吸器管理の適応と管理、抜管までできる
- 内科疾患における一次・二次救急のマネージメントおよび3次救急の補助ができる
- 血液、尿、画像等の基本的検査を正確にかつEBM的に解釈できる。特殊検査の選択ができる非侵襲的呼吸療法ができる
- 指導医と共に患者の医療倫理についてディスカッションし、問題点の抽出と解決を試みる事ができる
- 心電図や単純レントゲン写真の読影や解釈ができる。CT検査やMRI検査の適応、正常解剖の理解、明らかな異常の指摘ができる
- 腹部エコーでスクリーニングができ、解剖学的に説明できる
- 確実な気管内挿管ができる
- 腔ドレナージができる
- インターネットなどを利用し、医学的文献の検索ができる。できればEBM的読み方ができることが望ましい
3.その他
- 2年目の研修でも3ヵ月の内科研修があり、この間は総合内科での研修を基本的に行う。専門医研修で内科専修を希望する研修医は6ヵ月の期間で循環器科、呼吸器科、消化器科、腎・リウマチ科、血液科、神経科から3科を選択しローテーションする事が望ましい
- 内科各専科の指導医とともに主に救急から入院する患者の担当となり、ケアにあたる総合内科では上級研修医とともに直接患者を担当し、屋根瓦方式で学ぶ。1年目研修医の指導も担当する
- 毎週1回の内科全体の症例報告会で患者のプレゼンテーションを行う
- 現在進行中である那覇市立病院との合同カンファレンスでの症例報告を行う。その他積極的に沖縄県医学会などで発表を行う
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