初期臨床研修プログラム
1.プログラムの特色
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- 年間を通じた北米型救命救急センター(年間約35,000症例)での当番勤務により、あらゆる種類の救急症例を経験することができる
- 救命救急科、地域医療科、小児総合診療科を中心としたプライマリケア重視の臨床教育を行っている
- 島嶼県の地域保健医療研修として、当院附属の離島診療所での研修が必修となっている
- 上級医が下級医を指導する、いわゆる『屋根瓦方式』と称される手厚い指導体制を採用している
- こども医療センター、総合周産期母子医療センター併設により、小児科・産婦人科の症例も十分経験できる
- 2年次に5カ月の自由選択期間が設けてあり、将来の希望専攻科を考慮したカリキュラムを組むことができる
2.研修プログラム
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター初期臨床研修プログラム
※2019年度より、1年目を当院で研修し、2年目を琉球大学病院で研修するRyuMIC連携プログラム(地域連携コース)もできました。
3.研修目標(基本的目標、基本的方針)
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- 目的
県立南部医療センター・こども医療センターにおける初期臨床研修は、救急医療、プライマリ・ケアの研修を通して将来の専門科にとらわれない全ての臨床医に求められる基本的な診療知識・技術と共に、確かな医療倫理のもとに全人的な医療をおこなう医師の育成を目的とする
- 目標および方針
上記の目的に添うべく以下の項目の達成を目指すが、具体的には厚生労働省の提示する 臨床研修到達目標の達成をめざす
- 日常頻繁に遭遇する病気、病態に対して幅広いトレーニングを背景に、適切なプライマリ・ケアを行い、正しい薬剤使用・療養指導ができる
- 患者の病状を正しく判断し、時期を誤ることなく専門医または適切な施設に紹介する能力を養う
- チーム医療を理解し、医療各職種との円滑な連携を図ることができる
- 離島診療所研修にて、大病院では経験し難い地域と密接した外来管理、在宅医療 、 訪問看護、保健福祉、検診等に参加し、地域に必要とされる総合的医療について理解する
- 医療現場での安全確認(医療事故防止、感染対策)を理解し、実施できる
- 日常診療に際して、患者のプライバシーおよび権利を守るとともに、患者が理解できるように説明し同意を得ることができる
- 患者・家族の持つ身体・心理・社会的側面を理解して対処し、より良い医師患者関係をつくる
- 臨床症例の科学的な記録として診療録を作成し(POSシステム)、チーム医療の遂行や学術研究に資すると同時に医事紛争に十分耐えうる記録にする
4.研修計画(教育課程、研修方式、研修期間割、研修医の配置等)
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- 研修方式
2年間の初期研修期間中は、将来の志望科を問わず各科をローテートするスーパーローテート方式とする
- 教育課程、研修期間割、研修医の配置等
上記の目的に添うべく以下の項目の達成を目指すが、具体的には厚生労働省の提示する 臨床研修到達目標の達成をめざすことになる
1年次 |
厚生労働省の到達目標を満たす基本的医療技術・知識・態度の修得を行う
内科3ヵ月、外科3ヵ月、小児科1.5ヵ月、産婦人科1.5ヵ月、救急医療1ヵ月、麻酔科1ヵ月、精神科1ヵ月の研修を通して基本的診察・基本的検査・基本的治療法(手技・処置等)について学ぶと共に、患者や家族の持つ身体的・心理的・社会的問題についても適切に対応出来る態度を育成する |
2年次 |
更なる各種の臨床経験を通して初期臨床研修の目標達成を図る
内科4ヵ月、地域医療1.5ヵ月、救急医療1ヵ月、を必須とし、残りの5ヵ月を選択科目とする。 将来の専攻科に有用なスケジュールを組むことが出来るが、何らかの理由で研修目標を達成できていない場合はこの期間を補修期間として調整できる |
- 研修病院群について
研修は、管理型病院である当院と2年次の必須項目である地域医療研修を下記の協力病院で行なう
- 【協力施設】(※順不同)
- 徳山クリニック
- 三原内科クリニック
- うえはらこどもクリニック
- まつおTCクリニック
- 石巻赤十字病院
- 熊本労災病院
- 那覇市立病院
- 琉球大学病院
- 沖縄県立北部病院
- 沖縄県立中部病院
- 沖縄県立宮古病院
- 沖縄県立八重山病院
- 沖縄県立精和病院
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- ゆずりは訪問診療所
- 首里城下町クリニック
- 平田胃腸科・内科
- 沖縄協同病院
- 公立久米島病院
- 阿嘉診療所
- 粟国診療所
- 座間味診療所
- 北大東診療所
- 渡嘉敷診療所
- 渡名喜診療所
- 南大東診療所
- 波照間診療所
- 初期研修終了後の進路
2ヵ年の初期研修の後、専門学会の認定医、専門医の資格獲得のために引き続き研修を希望する者には専門研修を行う。(内科、外科、小児科、救急科、形成外科、総合診療科) この場合、初期研修修了者は選考後に専攻医として採用される。専門医研修の定員に関しては、毎年、沖縄県がこれを定める。 専攻医には研修終了後に1年間の離島中核病院勤務が義務づけられる。但し、専門研修に総合診療科を選択した場合は離島診療所勤務を行う。
5.指導体制
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- 各科指導責任者及び指導医
臨床経験5年以上の医師は指導医となる。離島診療所の場合、医師の臨床経験年数が5年に満たない場合もあるが、その場合であっても親病院の指導医の資格によって研修医を指導することができる。各診療科の部長またはこれに準ずるものは指導責任者として研修指導をとりまとめる。
- (2)指導方法
1.研修医各々に担当指導医がつくが、指導医は必ずしも1人に限定されるものではなく、実質的には全医師が研修医の受け持ち症例にそれぞれの専門分野に応じた指導をおこなう
2.上級研修医は常に下級研修医の指導にあたる。いわゆる屋根瓦方式を採用する
3.研修医はいずれの診療科の教育・研修関連行事(カンファレンス、レクチャー等)にも参加することができる
6.管理運営体制
臨床研修管理委員会がプログラムの運営を行う。本委員会は、当院・協力病院・協力施設の代表者等によって構成される。本委員会は卒後臨床研修医(以後、研修医)の採用試験の実施・選考、およびその結果の沖縄県臨床研修実施協議会への答申、研修開始時のオリエンテーション、研修内容の検討、研修医の評価、専攻医の選考とその結果の上記協議会への答申、研修修了式などを行う。また、研修事業がスムーズに運営されるよう、必要に応じて小委員会を設置する。
7.研修の記録および評価方法
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- 研修開始にあたり、各研修医に「研修医ノート」を配布する。 「研修医ノート」には、当院の初期臨床研修プログラムの解説と共に、各自の臨床研修の内容を具体的に記録する欄があり、受け持ち患者については全症例を記入する。その記録を通して自己評価及び第三者評価を行う。
- 上記の独自の研修評価法とは別に、当院ではオンライン研修評価システム(https://epoc2.umin.ac.jp/epoc2.html)であるPG-EPOC (Evaluation system of Post-graduate Clinical training)を利用しての研修評価も併せて行う。2年目の研修期間中、ローテーションの節目節目にEPOC上で行動目標、経験目標の各々の項目について自己評価するとともに、指導及び研修環境の評価を行う。
- 指導医は、研修医が当該科の研修を終了した時点で、研修状況を協議する。その結果を各科の指導責任者は、決められた期間内にEPOC上で行動目標、経験目標の各々の項目について評価する。
- 研修管理委員会は、定期的に研修医及び指導医の評価内容を検討し、円滑な研修の継続と、研修目標の達成に向け援助する。また、研修終了時には、各研修医からの指導及び研修環境に対する評価を検討し、指導体制あるいはプログラム改善の資料として使用する。
- 受け持ち患者が退院した場合は、速やかに退院時要約を完成させる。研修修了時点で提出すべきレポートや未完成退院時要約が残っている場合、その他研修未修了と見なされる場合は研修修了証を交付しない。
8.プログラム修了認定
各科指導医が研修医の自己評価表をチェックし、研修の目標レベルに到達していると認めた場合、研修管理委員会の承認の後、臨床研修修了証を各年次毎に交付する